過去に担当した生徒さんの話① 前編

点数アップ例

こんにちは!四国中央市川之江町にオープン予定の1:2個別指導 藤井塾です!

今回から、私が過去に担当した生徒さんについての記事を何本かあげていきたいと思います。(数学が苦手な生徒さんを担当することが多かったので数学が多めになると思います)

初めて塾に行くときって、「どんな先生なんだろう?」「どんな授業なんだろう?」「ちゃんとみてくれるのかな?」とか、不安に思う人もいると思うんですよね。

この記事を読みながら、私の授業のようすをある程度イメージしてもらえたらいいなと思っています。

今回の記事でご紹介するのは、Tくんです。

中学3年生の時に、数学と英語を担当させて頂きました。

私はこれまでに100名以上の生徒さんを指導してきましたが、Tくんはその中で一番、物静かな生徒さんでした。

私が勤めていた塾では、新年度が始まる前に、これから担当することになる生徒さん一人ひとりの特徴を塾長から伝えられます。

その時に、Tくんについて、「かなり静かな生徒さんです」と言われていました。

その時は、特に気にしていませんでした。

それまでにも、静かな生徒さんを何人も指導した経験があって、慣れていたからです。

(私はどんな生徒さんにも優しく指導するタイプなので、内気な生徒さんを任されることも多かったです。内気な生徒さんに対して高圧的な態度をとる先生とか、分からないことに対してキレる先生も何人かいたんですが、絶対にやってはいけないことだと思っています。)

ただ、Tくんは私の想像を遥かに上回るほど静かな生徒さんでした。

本当に、何も喋ってくれないんです。

あいさつもしてくれませんでした。(「Tくん、それは会釈をしてくれていると捉えてもいいのか?いいんだよな?」と思えるくらいの小さめの会釈はしてくれていました)

質問しても、答えてくれません。

「私はTくんに嫌われているんじゃないだろうか!?」

最初にTくんを指導した時は、そう思って不安になることもありました。

しかし。

確かに、Tくんは喋ってはくれないのですが、指示にはちゃんと従ってくれます。

説明もよく聞いてくれます。

宿題もしっかりやってきます。

「素晴らしい生徒さんじゃないか!」

おそらく、本当に喋るのが苦手なだけだったんだと思います。(後日、Tくんと同じ学校の生徒さんに確認も取りました)

「真面目に頑張っているTくんの成績をなんとか伸ばしてあげたい!」

私はそう思いました。

ただ、「生徒さんが喋ってくれない」というのは、指導する上で大きな壁となります。

本来であれば、

「どこが分からん?」(私)

「ここの、こういうところが分からん」(生徒)

とか、

「なんでそう思う?」(私)

「これこれこうやけんそう思う」(生徒)

みたいなやり取りができるのですが、Tくんの場合はそれができません。

「どうしよう…。どうやったらTくんの成績を上げられるような授業ができるかな…。」

色々考えました。

そして、自分なりに工夫して、授業を進めていきました。

特に、次の3つのことを意識しました。

質問するときは、「はい」「いいえ」で答えられる質問をします。(Tくんは喋ってはくれませんが、頷いたり首を振ったりはしてくれます。とても小さな動きなのでよく見ている必要があります)

説明をする時は、Tくんの表情に注意を払って(無表情気味なので判断が難しいですが)、少しでも異変を感じた時はすぐに確認を入れます。「分からんところあった?」みたいに聞きます。

問題を解いているときも、よく観察して、フォローが必要だと判断したらすぐにサポートに入ります。

他にも、「説明がうまく伝わらない場合は、Tくんの考えを知るために筆談で答えてもらう」ことも考えていたのですが、Tくんは非常に理解力の高い生徒さんだったので、筆談する機会はありませんでした。

比較的スムーズに授業を進めることができたと思います。

そして、成績もめちゃくちゃ上がりました!

私が指導する前(Tくんが2年生の時)は、英語は60点台、数学は70点台が多かったのですが、指導後は、英語95点、数学96点など、90点台を連発するようになりました。

生徒さんによって、成績が上がるまでにかかる期間には差があるのですが、Tくんは1学期のテストからいきなり結果を出して、卒業までそれを継続してくれました。

学年順位もかなり上がり(30位以上上がりました)、指導前の段階では狙えなかった地域トップの進学校(偏差値63)に余裕で合格できるほどのレベルになり、見事合格されました。

「Tくんの成績が上がってよかったなあ…。」

そう思いました。

しかし、気になっていることが1つありました。

それは、「Tくんを担当して1年が過ぎようとしているのに、いまだにTくんが喋ってくれない」ことです。

確かに、成績は上がりました。

しかし、テストの点数が上がった時に「すごいやん!」と褒めてみても、あまり反応がなかったんです。

他の生徒さんであれば、普段のコミュニケーションから、話す言葉、話し方、表情などを観察することで、私に対してどんな印象を持っているかをある程度判断できます。

しかし、Tくんは基本的にいつも無表情です。

「Tくんは私のことをどう思っているんだろう?」

ずっと謎でした。

そして、Tくんを指導する最後の授業の日を迎えました。

つづく